しぐなすの創作物置小屋

小説・現代誤訳・詩歌・漫画などなど

2005-01-01から1年間の記事一覧

無限に遠き -竹取物語異説-

今は昔、月をながむるかぐや姫あり。月にレモンパイの面影たちて、「食べたし」と袖をしぼるほどに、三人の男きたりて、求婚しけり。男ども、口々にもの言ひて、かぐや姫を口説きけり。 チルチル、「いつしよに青い鳥をさがしに行かうぜ、ベイベー」とぞ言ひ…

おのれが誰か知らざる男の話

「おのれが誰か知らざる男の話」 昔、おのれが誰か知らざる男ありけり。 おのが社員証を見れども、保険証を見れども、勤務先と名前と生年月日書かれたるばかりにて、おのれが誰かわからず。 おのが名前を百万回書けども、腕疲るるばかりにて、おのれが誰かわ…

17才

「17才」 むかし、亀ありけり。齢十七の春、アキレスと海へ行きけり。浜辺にて、亀、アキレスの腕をすり抜けてよめる。 いざわれをつかまへよ君早春の波あをあをと寄せくる前に 亀、しばし走りたるを、夢見心地なれば、うつかりと海へ入りて泳ぎにけり。ア…

好きよキャプテン

「好きよキャプテン」 むかし、古文の苦手なるキャプテンに、ラ変動詞を教へり。キャプテンほほゑみければ、テニス焼けのゑがほ、いとまぶしかりし。その日より、ラ変動詞はわが呪文となれり。バレンタイン・デーによめる。 目をとぢて「ありをりはべりいま…