しぐなすの創作物置小屋

小説・現代誤訳・詩歌・漫画などなど

2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

200字小説「過去の旅路」

彼女の前には古い時刻表があった。不用品のダンボール箱に入れたのをすっかり忘れていた。雅彦との旅行のために買ったのだが、計画を立てる前に別れた。手痛い裏切りに泣き続けた日々が思い出される。二〇一四年はまだ金沢まで新幹線が延伸していなかった。…

短歌

「葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり 釈迢空」へのオマージュ枯葉たち踏みしだかれて色あせて都会の舗道ひとが行き交ふ

短歌

電線は空の五線譜ハトが二羽ソとシの位置で音符となって

「新宿・2023年12月」

アルタの隣の隣、GUCCIの向かい側で人を待つ。飛び出す三毛猫の3D街頭ビジョンが間近に見える。でもここからは飛び出して見えない。 遠くの曲線はコクーンビル、その向こうのオレンジ色の空を飛行機が飛んでゆく。地上ではひっきりなしに人々が行き交い、枯…