しぐなすの創作物置小屋

小説・現代誤訳・詩歌・漫画などなど

言葉スケッチ

「新宿・2023年12月」

アルタの隣の隣、GUCCIの向かい側で人を待つ。飛び出す三毛猫の3D街頭ビジョンが間近に見える。でもここからは飛び出して見えない。 遠くの曲線はコクーンビル、その向こうのオレンジ色の空を飛行機が飛んでゆく。地上ではひっきりなしに人々が行き交い、枯…

六月の日曜日

何本も交差する電線。そのむこうに雲。揚羽蝶が曲線に翔ぶ。飛行機の轟音。片影が短い。 咲き残る一輪の薔薇のピンク。新しいスニーカー。「銀のさら」のバイクが追い越す。 つかのま吹き渡る風。アカバナユウゲショウ。ドクダミ。雨上がりのきらきらした緑…

「2022年・大晦日の日暮れ」

大晦日の日暮れ。交差点で立ち止まると、道路の向こうに西の空が見えた。太陽は建物に遮られて見えないが、でこぼことした雲が横に長く漂っている。雲は夕日を受けて、ピンク、オレンジ、紫、ペイルブルーと繊細な色合いを見せている。空は単調な水色で、雲…

「冬至前」

冬至前、関東の午後二時はもう黄昏の雰囲気だった。それでも十二月にしては空気は冷たくなかった。風もない。 鉄道の高架脇の小道はちょっとした遊歩道のようになっていて、散歩にはちょうどよい。道に沿って樹木が植えられ、地面には落葉が散り敷いている。…