しぐなすの創作物置小屋

小説・現代誤訳・詩歌・漫画などなど

2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

渡りはつべし -七夕物語異聞2-

織姫の涙おちそへてまさりけるか、天の川波なほ高し。牽牛、心乱れて水に入らんとするに、声あり。 渡し守「ちよつとー、なにやつてんすか。まだ朝ですよ。営業時間は夜七時からですつてば。勝手に渡られると困るんすよねー」 また、空より声す。 かささぎ「…

渡りはてねば -七夕物語異聞1-

牽牛、その日なれば、天の川渡らむと川原に行きけり。川波、星の光をうつして、きらきらしきことかぎりなし。 牽牛、心はやれど、渡し守、かささぎ、見えず。牽牛、「あやし」と思へど、舟だになし。 歩きて渡ることかなはねば、泳ぎて渡らむとすれど、波う…