しぐなすの創作物置小屋

小説・現代誤訳・詩歌・漫画などなど

2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

200字小説『境界線の引き方』

ユウトってば、境界線の引き方が全然わかってないんだから。私というカノジョがいるのに、なんで幼馴染と二人きりで飲みに行くの? 男と女だよ? 「マイは幼稚園からのただの友達。恋愛感情皆無」ってユウトはヘラヘラしてるけど、私は男女間の友情なんて成…

200字小説『言えるわけがない』

だって、あいつとは喧嘩ばかりしてたんだ。小学生の頃から、俺はあいつの短い髪をからかったり、あいつは俺の字が下手だと嗤ったり。中学生の頃は成績で張り合ってた。高校生になったあいつが急にきれいになって、テニス部の主将と付き合っても、俺は知らん…

「宅配便を待つ女」

彼女は宅配便を待っていた。二、三日前にインターネットで注文した品物が来ることになっていた。住んでいるコーポには宅配ボックスというような気の利いたものはない。置き配は一度トラブルがあってからは断固拒否している。ネットの追跡サービスで調べると…

「燈火の炎に映った女」(ロングバージョン)

大納言の君の話 その宵、私(わたくし)が用事を済ませて宣耀殿に戻りましたところ、ちょっとした騒ぎになっておりました。小中将の君は母屋にいるはずなのに、廂の燈火の炎の上に小中将の君の姿が浮かび上がったというのです。 「小中将の君が二人……。どう…