しぐなすの創作物置小屋

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200字小説『言えるわけがない』

 だって、あいつとは喧嘩ばかりしてたんだ。小学生の頃から、俺はあいつの短い髪をからかったり、あいつは俺の字が下手だと嗤ったり。中学生の頃は成績で張り合ってた。高校生になったあいつが急にきれいになって、テニス部の主将と付き合っても、俺は知らん顔をしてたのに。
 あいつが親に付いてアメリカへ移住するって聞いて、初めてわかった。でも今さら、言えるわけがないじゃん、「好きだ」なんて。


※お題は「140文字で書くお題ったー」様(https://shindanmaker.com/375517)よりお借りし、200字に変更いたしました。ありがとうございます。