しぐなすの創作物置小屋

小説・現代誤訳・詩歌・漫画などなど

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「小説再挑戦」花山信義

えー、花山信義と申します。本日は「市民わいわい祭り」スピーチ発表会に参加できまして、大変光栄に存じております。 えー、小生、最近はひさかたぶりに小説を書いておりまして、今日はそのことをお話し申し上げようと思います。 何を隠そう、三十年ほど前…

歌物語「春の鳥」

従兄の春夫兄さんは春が大好きでした。春に生まれたから「春夫」と名付けられたさうです。私も春夫兄さんが生まれた春が大好きでした。 春夫兄さんは何でも知つてゐました。私が幼い頃、雲雀を教えてくれたのも春夫兄さんです。春の夕方、一緒に散歩してゐる…

歌物語「月のひかり」(擬古文+現代語バージョン)

京の都、千本通りに朱雀門の跡あり。 そのかみ、朱雀門ありし世、男ありけり。かたちきよげなるを、頭(かうべ)に角一本あり。月のあかき夜、直衣着て朱雀門の前にて笛を吹きけり。 いつのころにか、同じさまなる直衣着たる人、朱雀門にきたりて、これも笛…

ヤマタノオロチくん・ミステイク3

歌物語「花の残り香」

昔、大納言の御娘とて、かたち、ありさま、いとらうたげにおはしますが、北の方、継母にて、御娘の数に思さず、姫君、わびしきこと多かりけり。 五月の夜深く、姫君、寝(いね)られず端近く寄りたまふ。花橘の香しるかりければ、 五月闇空なつかしく匂ふか…

帝釈天の事件簿・ドケチの彼方に

「アハハハハ、愉快愉快」 山の中に嬌声が響く。 人はもちろん、鳥も獣もいない山の中である。男がたった一人でごちそうに囲まれて酒盛をしていた。留志(るし)という金持ちだった。 「誰もいないところでうまい物を食い、酒を飲む。こんな愉快なことはない…

掌編小説「あだ人とかりのこ」

「また彼氏のため?」 バイト先のスーパーで高級赤たまご十個パックを買うたびに、バイト仲間のおばちゃんが笑う。近頃はもう半ば呆れ顔だ。 私は曖昧に笑ってやり過ごす。 だってケンちゃんにはできるだけいいものを食べさせたいから。バイトなら割引で買え…

ヤマタノオロチくん・ミステイク2

ヤマタノオロチくん・ミステイク

ひこぼしくん(仮)