しぐなすの創作物置小屋

小説・現代誤訳・詩歌・漫画などなど

2024-01-01から1年間の記事一覧

400字小説「祈りの日」

空襲の翌日、東京は焼け野原だった。母に連れられて旦那様のお屋敷に行った。私たちが住んでいた離れの小屋は跡形もなく、母屋はかろうじて屋台骨が黒焦げになって残っていた。 瓦礫の中に生焼けの積み木があった。確かに坊っちゃんの玩具だ。一度ちらりと見…

「言葉遊び短歌」

戯(たは)れ男(を)の悪びれもせで手弱女(たをやめ)をもてあそぶ夜に照るアルビレオ

「現実とテキスト」

現実とテキストは違うのよ。テキストには書いてないこと、書かなくていいこと、書いてはいけないことがあるのよ。だってあなたは人間でしょう? 息してるでしょう? くしゃみするでしょう? うんこするでしょう? うんこしたことをいちいちテキストにはしな…

「アインシュタインの名言短歌」

偶然の一致。あれはね、神様が匿名希望でなさったお仕事"Coincidence is God's way of remaining anonymous." 重力のせいにはできない もし君が彼女とうっかり恋に落ちても“You can’t blame gravity for falling in love.”Albert Einstein

言葉遊び短歌

佐々木嬢、后となるは奇跡なり。粗相せぬかと気が気でないが。 あな愛(かな)し涙はながれまたながれ海のかなたのカナダのあなた

短歌

「月曜日にお風呂をたいて 火曜日にお風呂にはいり テュラテュラテュラ……」(「一週間(ロシア民謡)」へのオマージュ)金曜に出逢い土曜にキスをして別れた月曜テュラテュラテュララ

現代誤訳短歌

「君待つと閨へも入らぬまきの戸にいたくな更けそ山の端の月 式子内親王」【現代誤訳】 お部屋にも入らずドアの外で待つ 彼がくるまで月よ沈むな

短歌題詠 040:走る

先生が走る師走に風は吹きカラカラカラと落葉も走る

現代誤訳短歌

「来むと言ふも来ぬ時あるを来じと言ふを来むとは待たじ来じと言ふものを 坂上郎女」【現代誤訳】 「行くよ」って言っても来ないあんたなんか待っちゃいないわ来ないんでしょう